音楽界へ道連れじゃ

ギターとピアノとDTMのブログ

その曲、時代遅れになっていない?

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禁断のデモ

 

僕には兄がいます。

 

当時、高校生だった僕は、兄が仕事に出かけている隙に勝手に部屋に入り「見てはいけない物」を見つけてしまいました。

 

エロ本とかなら全然良いのですが、見つけたのは、音楽会社に送るための「オリジナル曲のデモCD」でした。

 

兄は学生時代にバンドをやっていたらしく(10歳離れているので詳しくは知らない)、部屋には、アコギや大量のCDが置いてありました。

 

でも、実際に何か音楽活動をやっている姿は見たことがありませんでした。

 

そんな兄が、ひそかに作っていたオリジナル曲…

 

ちなみに、その頃、僕は既にバンド活動を始めており、拙いながらも作曲をしていました。

 

なので、「兄が作ったオリジナル曲」に興味がないわけがありませんでした。

 

ところで、そのCDが「音楽会社に送るためのデモ」だとわかったのは、CDと一緒に、歌詞と曲の説明的なものを書いた紙、それ と宛先(会社名)が書かれた封筒が近くにあったからです。

 

 

まだ兄が帰って来る時間ではないので、そのまま兄の部屋のCDプレイヤーでCDを聴きました。

 

僕は驚愕しました。

 

曲の良し悪しは置いといて、おそろしく「古臭かった」からです。

 

(当時の)今時っぽさは一切なく、20~30年前の音楽という感じで(僕自身が15、6歳だったので、あくまでイメージです が)、とにかくダサい曲でした。

 

あまりのダサさに何だか恥ずかしい気持ちになって、とてもフルコーラスは聴けませんでした。

 

「頼むからこんなの音楽会社に送らないでくれよ…」

 

と思いましたが、勝手に聴いたことを兄には言えないので、胸の内にしまっておくことにしました。

 

 

兄が作曲した古臭い曲を聴いたあの時、「もしかすると俺の作った曲も、客観的に聴いたら古臭い可能性が…?」などとは、1ミリも考えませんでした。

 

当時、僕は高校生で、流行に「超」敏感な年頃です。

 

実際、聴いている曲の9割以上は流行りのものだったので、僕の作った曲が古臭いものになる要素はなかったと思います(死ぬほど「浅い」曲だったとは思うけど)。

 

そんなわけで「時代遅れのデモ事件」は、衝撃的ではあったものの次の日には忘れていました。

 

それが、数年後に、あることをキッカケに思い出すことになります。

 

 

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僕は、バンド活動をやめる少し前からDTMを始めたのですが、それがきっかけで、知り合いから「演歌のアレンジをして欲しい」と頼まれることになりました。

 

演歌については何の知識もなかったのですが、やりゃ出来るだろうと思って、すぐにOKしました。

 

ただ、本当にテレビで聴くくらいの知識?しかなかったので、あとで演歌のCDをレンタルしまくって勉強しました。

 

そうして、演歌のアレンジと作曲を10曲くらいやりました。

 

何のジャンルにしても音楽のことを学ぶのは楽しいですし、それ自体は良い経験だったのですが、この後、ある問題が発生し ます。

 

バンド用に書いた曲から「昭和臭(しゅう)」が出てくるようになったのです。

 

 

原因としては、バンド用の曲を作る直前まで演歌を聴きまくっていたので、無意識に引きずられてしまったのだと思います。

 

念の為、言っておきますが、演歌のことを「古臭い」とディスるつもりは毛頭ありません。

 

ただ、アレンジが現代的なロックでも(当時やっていたのはロックバンドでした)、そこに演歌的なメロディが入ると、隠し切れない昭和っぽさが出てきます。

 

それは「古臭い」以外に形容のしようがありません。

 

作った曲をうきうきでメンバーに聴かせると、すごく言いづらそうに「なんか古臭い..」とコメントが返ってきて、僕はとても困惑しました。

 

古臭い??それってどういうこと…???

 

インパクトがない」とか「どっかで聴いたことある」みたいな感想であれば、0ダメージのなのですが(それはそれで良くないけど)、「古臭い」は意表を突かれすぎて、一瞬、どういう意味なのかわかりませんでした。

 

そして、「古臭い」というキーワードがきっかけで、僕は兄の部屋で起きた「時代遅れのデモ事件」のことを鮮烈に思い出し ました。

 

今となっては『たまたま演歌に没頭した後に作った曲だから、メロディが古臭くなっただけで、別に俺の感性が古いわけじゃない』と言えます。

 

ですが、当時は「時代遅れのデモ事件」のことを思い出して『俺も気づかない内に時代遅れになっていたのか…?』とまじで凹みました。

 

しばらく、メンバーに新曲を聴かせるのも怖かったです。

 

 

そんなことがあって以来、作曲やアレンジをする際には「時代錯誤の音楽」にならないよう気を付けています(気が回らないこともありますが)。

 

歳と共に感性が古臭くなるのは自然なことですが、アンチエイジングはできます。

 

そこで、「音楽的な感性」のアンチエイジングのために、僕がふだん意識していることを、また後日書こうと思います。

 

僕は古い曲、例えばオールディーズのロックやファンク、ソウルとかめちゃくちゃ聴きますし、日本の歌謡曲も好きです。もちろん演歌も。

学ぶこともたくさんあります。

あと、兄のことも基本的には尊敬しています。