正しい音をモニタリングできる ARC system 2.5
IK Multimediaの「ARC system 2.5」を導入しました。
さっそくですが、これはマジで「かけがえのない効果」を得られるツールです。
「正しい音を聴いているという安心感」みたいなものを手に入れることができます。
もちろん、そんな精神的な効果だけでなく、たとえば低音のくぐもった感じがなくなったり(※個々のDTM環境によって効果が異なるので一概には言えない)、具体的な効果もあります。
とにかく、自宅でDTMをやる者にとっては、一人に一台あってしかるべきツールだと思います。
ARC system 2.5って何?
ARC system 2.5は、簡単にいうと「音楽制作に最適ではない環境」でも、正しい音でモニタリングできるようにするプラグインです。
「音楽制作に最適ではない環境」というのは、例えば下記のようなことです。
スピーカーがデスク上に置かれている。
⇒デスクが共振して意図せず音が膨らんでしまう。
スピーカーと壁の距離が近い。
⇒無駄な反響で音がこもってしまう。
スピーカーから壁までの距離が左右で異なる。
⇒反響具合が左右で異なるため、音の聴こえ方が、左と右とで変わってしまう。
まとめると、スピーカーを置いている環境によっては、私たちの耳には正しくない音(スピーカー側が意図していない音)が、聴こえてしまっているわけなんですね。
だからって、専用のスタジオを作るとか、部屋をリフォームするとか簡単にできるわけもなく、 問題の解決は容易じゃないです。
しかし、 そんな大層なことをせずとも問題を解決してくれるのが、この「ARC system 2.5」です。
①専用マイクで部屋の特性を調べる
まずは部屋の特性を調べるための作業が必要です。
所定の位置で、ARC system 2.5専用のマイクを立てて、測定を開始します(測定用のアラームみたいな音が数回なります)。
測定が完了すると、、、
オレンジの線は「あなたの部屋ではこんな風に音が聴こえますよ」っていうのを表しています。
パッと見でわかるのは、150Hz辺りが出過ぎています。
その後ろが、ガクッと下がってまた盛り上がって…とにかくフラットとは程遠い状態です。
②DAW上で立ち上げる
測定が終わったら、DAW上でプラグインとして使います(スタンドアロンは不可)。
DAWを立ち上げ、マスタートラックにインサートします。
補正前と比べて150Hz辺りが大きく抑えられているので、なんだか迫力がなくなったように聴こえます。
そもそも、今まで無駄に増幅されている部分が多かったので、音がフラットになったことで全体の音量が下がっています。
が、下がってしまった分の音量を上げれば迫力は戻ります。
また、音量を上げても低音にモワモワした感じがなく、前より明らかにスッキリとして聴こえます。
今まで、ほんっとーに音がこもっていたんだなあ、と実感しました。
手持ちのスピーカーで、いろんなスピーカーをシミュレートできる
音をフラットにする以外にも、手持ちのスピーカーを、異なる特性のスピーカーにシミュレートできる便利機能があります。
例えば「Carstereo」は、その通りカーステレオをシミュレートしたイコライジングになります。
低音が強調されますが、音がこもってて確かに車っぽい感じになります。
「Desktop Speakers」は、PCモニター内臓のスピーカーかな?
これも、いかにもPCスピーカーといったツヤのない音になります。
「Laptop Speakers」は、ノートPCに内蔵されているスピーカーですね。
低域がごっそり削られて、音がスカスカになります。
「iDock」って何だろ?iphone専用の音楽機器か何か?
★まとめ
ARC system 2.5がどんなものか簡単に書いてみました。
勘違いしてはいけないのは、決して「音が良くなるプラグイン」ではありません。
僕の部屋の場合だと、低域に膨らみすぎている部分があり、それがこのプラグインによって抑えられたことで、結果として音がスッキリしました(その辺は個々の環境によります)。
ただ、ARC system 2.5を通すことで「正しい音をモニタリングできている」という安心感があります。
この部分は、他のツールで代用できるものではないので、価値が大きいです。
音楽制作の環境は、突き詰めるとキリがなくお金もたくさんかかります。
その点、これは安価で良いモニタリング環境を手に入れることが出来るので、自宅でがんばっているDTMerには、最高にありがたいツールだと思います。
ただ、この専用マイク、測定時に一回使ったら使う機会がないんですよね(模様替えか引越しでもしない限り)。
もったいない、、、何かに使えないかな。
(補足)
今回レビューしたArc system 2.5を搭載したスピーカーが、IK Multimediaより発売されるみたいです。
まだ発売前ですが、公式サイトの情報だけで、よだれが出るほど欲しくなる一品ですね。
5月10日の発売予定です。